先月より脊髄髄内腫瘍の摘出手術と治療のため芸能活動を一時休止していたAKB48の柏木由紀が、30歳の誕生日である7月15日、活動を再開した。


「10万人に1人の難病」ともいわれる病気が柏木に見つかったのは、先月3日に放送された『主治医が見つかる診療所スペシャル』(テレビ東京系)で人間ドックを受診した際だった。これを受けて、早期手術と治療のため、一定期間の休養をとることが決まる。先月25日に行われた手術は7時間以上におよんだが、術後は順調に回復を見せ、今週初めに復帰を発表するにいたった。


「帰る場所」があることが心の支えに

 本人は復帰発表にあたり、所属事務所の公式サイトに寄せたコメントで、《正直、ほっとひと安心しています。病気を知ってから、もしも、歌うことや踊ることが出来なくなってしまったらどうしよう、という不安が常にありました。/そして、帰る場所があるということがどれだけ支えになるか、実感した1ヶ月でした》と、無事に復帰が決まるまでの心情を明かしている。療養中には、その「帰る場所」であるAKB48の9月リリースの新曲「根も葉もRumor」の選抜メンバー入りが発表された。すでに決まっていた写真集『Experience』発売記念オンラインイベントも予定どおり7月18日に開催されるという。

 復帰初仕事となる、きょう深夜放送のラジオのレギュラー番組『柏木由紀のYUKIRIN TIME supported by DAIYAME』(TOKYO FM)で、彼女がどんな第一声を発するのか、気になるところだ。


元乃木坂46メンバーが「顎変形症」を公表

 柏木が手術を受ける前月、乃木坂46の元メンバーである伊藤かりんも、顎変形症の手術を受けている。もともと、しゃくれた顎にコンプレックスがあり、嚙み合わせにも違和感があったので、調べていたところ、自分が顎変形症のうち下顎前突という症状にあたると知ったという。すでに乃木坂46を卒業する直前、一昨年4月に初めてカウンセリングを受け、矯正治療とあわせて外科手術で治すことに決め、9月より術前矯正を始めていた。

 

 ただ、病気について公表するかどうか悩んだという。それでも術前矯正の段階で風貌に変化が現れ、それに気づいたファンから心配する反応があったことから、手術を目前にして自身のYouTubeチャンネルで発表に踏み切った。

 YouTubeでは、入院してから手術を受けるまでの様子や術後の経過を、病室でも動画を撮影して逐一レポートしている。術前と術後での顔の変化を自ら説明するのは、勇気を要したことだろう。手術から1ヵ月後には、乃木坂46の先輩である松村沙友理の卒業コンサートと併催されたグループ内ユニット「さゆりんご軍団」のライブに軍団の一員として出演し、元気な姿を見せた。

乃木坂46を卒業後、心理カウンセラーに

 アイドルと病気ということでいえば、伊藤かりんと同じく乃木坂46のOG・中元日芽香がこの6月に刊行した著書『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』のなかで、グループ在籍中に休業したときのことを詳しく記している。それによれば、シングル表題曲を歌う選抜メンバーになかなか選ばれなかった彼女は、ストレスがたまるなかで過食症を経験、その後、選抜入りするため努力を重ねて念願をかなえるも、心身のバランスを崩して、結局、休業せざるをえなかったという。著書のサブタイトルにあるとおりグループ卒業後に心理カウンセラーになったのも、自身が休業中にカウンセリングを受け、心を動かされたのがきっかけであった。

 自己実現のため頑張るあまり、いざ目的を達成したとたんに自分を見失い、心身ともにぼろぼろになってしまうということは、アイドルでなくても誰にでも起こりうる。中元が自らの体験を著書として公表したのも、《悩んでいる誰かの心に、実体験という形で、そっと寄り添うことができたらいいな》(前掲書)という思いからであった。

 柏木由紀も、YouTubeの公式チャンネルで病気について改めて伝えるにあたり、人間ドックを受診したおかげで早く見つけることができたと、自分の体験が「誰かの何かにつながればいいな」と語っていた。伊藤かりんもまた、病気を公表後、同じ病気に悩む人から「治療を受けるのに両親を説得するため、YouTubeでのかりんちゃんの説明を見せようと思います」といったメッセージを多数もらったという。もちろん、たとえ芸能人でも病気はきわめてデリケートな問題であり、扱いには最大限の注意を払うべき個人情報である。それでも、ここにあげたケースが示すとおり、表舞台で活躍する人が病気を公表し、自らの体験を語ることで、励まされたり、受診や治療へと後押しされたりする人々が少なからず存在することもまた事実だ。

 元SKE48の矢方美紀も、乳がんのため2018年に左胸すべてと周囲のリンパ節を切除する手術を受けたあと、ブログでそのことを公表すると、予想以上に大きな反響があったという。


ソロ活動を始めてまもなく乳がんと診断され…

 矢方が乳がんと診断されたのは、2017年にグループを卒業し、個人での活動を始めてまもない25歳のときだった。当初は伏せていた病名を、間違った情報を世の中に出したくないと思って手術後に公表したところ、メディアからも問い合わせがあいつぐ。なかでもNHK名古屋から取材を受けたのきっかけに、同局のサイトで映像日記「#乳がんダイアリー 矢方美紀」をスタートし、昨年6月の28歳の誕生日まで2年間続けた。この企画から派生して、術後も治療を続ける日々を追ったドキュメンタリー番組『26歳の乳がんダイアリー 矢方美紀』、『乳がんダイアリー 矢方美紀 2020 夢をあきらめたくない』も放送されている。

 ドキュメンタリーでは、矢方が治療と並行して、昔から憧れてきた職業である声優に挑戦し、そのなかで壁に直面するさまも紹介されていた。そんな彼女に対し、所属する声優プロダクションの社長が、がんだということはあまり考えずに、あくまで仲間として向き合い、相手のことを思って厳しい言葉も辞さない姿勢が印象に残った。


「無理して出勤」をよしとする時代は終わった

 いまや日本の女性の11人に1人が乳がんと診断され、がん全般にいたっては日本人の2人に1人が診断されるともいわれている。かつてのようにがんは必ずしも不治の病ではなくなり、治療を続けながらも日常生活を送っている人も思いのほか多い。そのなかで、患者自身がいかに病気と向き合うかということばかりでなく、患者に対し周囲の人たちがどう接していくかを考える上でも、矢方のケースはさまざまな示唆を与えてくれる。

 思えば、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、私たちは、病気や身体との向き合い方を否応なしに考え直す必要に迫られた。たとえば、少し前までは、風邪をひくなどしても、仕事に穴を開けないよう多少無理をしても出勤しなければならないという風潮が強かった。だが、ここ数年、そうした状況が変わりつつあることは、風邪薬のCMなどを見てもあきらかだ。その傾向にコロナ禍が拍車をかけたのは間違いない。

 いまもっとも勢いに乗っているグループのひとつである日向坂46では、ここ1年以内だけでも5人のメンバーがあいついで体の不調のため活動を一時休止している。先月にはシングル表題曲のセンター常連である小坂菜緒が体調不良のため活動休止に入り、今月開催された姉妹グループ・櫻坂46との野外イベント「W-KEYAKI FES.2021」も欠席した。ただ、これは逆にいえば、メンバーに不調を確認したら大事をとって一旦休ませるとともに、その間もグループとして活動が継続できるバックアップ体制が整えられているという証しでもある。ファンの側でもそれを理解し、メンバーが完全に回復するまで待つ姿勢が定着したように思う。そこには、先述のような時代の変化も反映されているのだろう。

【参考文献】

中元日芽香『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』(文藝春秋)

矢方美紀『きっと大丈夫。~私の乳がんダイアリー~』(双葉社)
 

(近藤 正高)

柏木由紀


(出典 news.nicovideo.jp)


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134キロバイト (15,610 語) - 2021年7月14日 (水) 17:42